山から切り出した孟宗竹を60~80センチメートルに切り、竹の油を抜き、強度を増すために煮ます。
一番上の節だけを残し、残りの節を全て抜き取ります。
危険防止のため、ムシロ、ゴザなどを巻き付け、その上から荒縄で固く、均一に巻きます。
火薬量が多い花火はその上にまた何層にも巻き、太くします。
持つ所(手縄)を付けます。
一つだけ残した節に、内径三分の一の大きさの穴をあけます。
これが花火の噴出口となります。
筒の中に黒色火薬を詰め込み、筒底に粘土を詰めます。
こうして出来上がった筒を手で持ち消費する花火を、手筒花火と言います。
もっと簡単に言うと…
ゴザと縄を巻いた竹筒に火薬を詰め、人が手に持って消費する手作りの噴出花火です。
日本に火薬が伝わったのは、天文12年(1543)種子島に鉄砲が伝来したときです。
戦国時代、当時は武器として使われていましたが、江戸時代になると戦いもなくなり、火薬の必要性も少なくなりました。
花火がいつからはじまったのか、はっきりわかりませんが、記録として残っているのは、『駿府政事録』で 1613年8月 「駿府城の徳川家康を、明国の商人がイギリス人国王ジェームス一世の使者ジョン・セーリスと訪ね、駿府城二の丸で明人が花火を立て、これを見物した」
と、あります。 これがわが国における花火の歴史の始まりとされており、花火について信頼できるもっとも古い記録です。 このとき見た花火は「立花火」と言い、節を抜いた竹筒に火薬をつめ点火し、火の粉を吹き出させるもので、手筒花火の原型と思われます。
「遠州新居の手筒花火」がいつから始まったのか、はっきりとした年はわかりませんが、記録として残るのは「湊大明神神輿造立記評林(みなとだいみょうじんみこしぞうりゅうきひょうりん)」で、
貞享(1684~1688)のころ 七月廿六日の夜は諏訪の御社の広庭におゐて花火を揚、神慮いさめ奉る 御代御繁栄に随って民もゆたかに神祭年々賑やかに、提灯も花火も弥増しにて…
と、記されています。 1684~1688には、既に行われていたことがわかります。
火薬の取り扱いが厳しかった江戸時代、ここ新居宿で火薬をこんなに大量に扱うことができたのは、関所が設置されていたからだと言われています。
毎日緊張の中で関所を守り、渡船業に携わる新居宿の人々の苦労を労うため、藩から許され、エネルギー発散の場を与えられた。 そして、新居独特の笑顔で楽しく自由に出すエネルギッシュな形が作られた。
新居の花火は、古来から続く神事にのっとり、形を変えず受け継がれています。
その中でも「猿田彦」と呼ばれる花火は実に勇壮で、男たちが一同に次から次へと花火を抱え、火の粉が降りそそぐ中を乱舞します。
この時、演奏される太鼓とホラ貝のリズムは腹の底にまで響き、花火野郎の力を引き出します。
このお囃子はその昔、武田信玄が出陣の時、太鼓とホラ貝で将兵の士気を高めたものを模したものと言われています。
祭りの夜は、出す人、見る人ともに酔いしれます。
遠州新居の手筒花火(説明) 「そら出せ出せよ!そら出せ出せよ!」威勢のいい掛け声が夏の夜空に響き渡る。 粋な衣装で身を包んだ男たちの笑顔が、オレンジ色の光の中に浮かび上がる。 「遠州新居の手筒花火」の始まりである。 「遠州新居の手筒花火」は、静岡県湖西市新居町新居に江戸時代から約300年続く夏祭りで、町内にある諏訪神社に奉納される伝統の花火である。 三河地方の手筒花火にはハネ粉を入れ、最後に底が抜けるため不動の姿であるが、新居の花火にはハネ粉を入れないので自由に練り歩き、次から次へと点火する。 中でも「猿田彦煙火」は必見である。 降り注ぐ火の粉をものともせず、笑顔で筒を抱きかかえ練り歩く姿は実に勇壮で、古くから「東海道の奇祭」と言われ、街道を旅する人々により各宿場へ、その名が広がっていった。 手筒花火は、竹の切り出しから火薬の填薬、消費まで総て本人自身で行われ、その製造技術、点火、消費の所作は親から子、孫へ、熟練者から初心者へと受け継がれて行く。 この「遠州新居の手筒花火」は、毎年7月下句の土曜日に中学校校庭(前夜祭)で行われ、夏の夜空を真っ赤に染め、その色、音、匂いで人々を魅了し、心のアルバムに夏の思い出を残す。 (文 てんてん)ご自由にお使いください。 |
練り込み | 各町内から煙火会場へ向かう道中で演奏される盛り上がるお囃子。 ナンダコラセ! |
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間囃子 | 大筒、双筒を出しているときに演奏される、単調なリズムのお囃子。 ソラ ダセダセヨ! |
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帰り節 | 大筒、双筒が終わり、引き上げていく時に演奏される哀愁を帯びたお囃子。 | 再生する | |
猿田彦煙火囃子 | ホラ貝が腹の底にまで響く、猿田彦煙火で演奏されるお囃子。 | 再生する |
※ 練り込み、間囃子、帰り節は各町によって、それぞれ微妙にリズム、メロディーが違います。
あなたの町のイベントに、手筒花火はいかがですか?
料金、会場設営、消防署への申請などお問合せ下さい。
遠州新居手筒花火保存会事務局(湖西市役所 新居支所内)電話:053-594-1111
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